2026年8月19日、ONtheUMEDA会議室にて、社内メディエーター養成講座 第5回を開催しました。



今回のテーマは、
「社内メディエーション実践 ~対話可能性を支える仕組みを設計する~」
これまでの講座では、目の前にいる一人の相談者の話を整理し、対立を「人の問題」だけではなく、「構造」として見ることを学んできました。
第4回では、「整理すること自体が支援になる」ということを、ロールプレイを通して体験しました。
そして第5回では、その視点をさらに広げます。
個人から、組織へ。
職場で起きていることを、「誰が悪いのか」ではなく、
「何が起きているのか」
「どんな構造があるのか」
「どこで対話可能性が失われているのか」
という視点から整理していきます。



制度から考えない。構造から考える。
例えば、
「若手が辞める」
「上司と部下が話せない」
「部署間で対立している」
「相談窓口があるのに相談が来ない」
こうした現象を見たとき、
「若手の問題」
「上司のコミュニケーション不足」
と、すぐに原因を決めつけることはしません。
まず、何が起きているのか。
その背景に、
- 評価
- 権限
- 情報格差
- 役割
- 立場
- 組織文化
- 相談ルート
など、どんな構造があるのかを考えます。
そして、「この会社では、どこで対話可能性が失われているのか」を見つけていきます。
「自分には何もできない」から、「こうすれば」へ
今回のワークでは、受講生自身の職場を題材に、問題の整理から、社内メディエーターが価値を発揮できる場所、必要な仕組み、会社への提案までを考えました。
そこで、とても印象的な変化がありました。
これまで、
「社内でうまくいっていないことは分かっている。でも、自分では何もできない」
と感じていたことが、
「こうすれば、できるかもしれない」
へと変わっていったのです。
これは、制度設計の知識を得たからだけではありません。
構造を見ることで、「自分に何ができるのか」が見えるようになった。
その変化なのだと思います。



「誰から始めるか」にも、構造を見る視点が表れる
ワークの中では、
「まずは中間管理職にワークショップを行ってはどうか」
という意見が出ました。
その理由として、
「部下に先に声をかけると、中間管理職が不安になりそう」
という意見が出たことも印象的でした。
これは、単に「管理職にも配慮しよう」という話ではありません。
上からの要求と、現場からの要求の間で板挟みになりやすい中間管理職の構造を理解したうえで、「誰に、どの順番で関わるのか」まで考えられるようになっている。
第3回、第4回で学んできた「構造を見る」という視点が、組織への具体的な関わり方につながっていました。
経営者に「何を伝えるか」
後半では、実際に経営層へ提案する練習も行いました。
ここでは、単に「社内メディエーターはこんなことができます」と説明するのではありません。
問題
→ 構造
→ 価値
→ 仕組み
→ 期待する変化
という思考のプロセスで、「この会社だから、この仕組みが必要」という提案を考えます。
最初は、どうしてもテキストの内容をきれいにまとめた「講義の発表」になりがちでした。
そこで、
「経営者が聞きたいのは何だろう?」
「現場の不満をそのまま聞きたいわけではなく、経営課題として伝わる必要があるのでは?」
と問いかけ、一つの提案をみんなでブラッシュアップしました。
すると、第1回で学んだ「経営」の視点が、ここでつながってきました。
社内メディエーターは、「相談を受ける人」だけではない
今回の講座を通して、社内メディエーターの役割が、さらに一段階広がりました。
社内メディエーターは、困っている人の相談を受ける人。
それだけではありません。
個人を支えながら、組織を見る。
そして、
その会社では、どこに対話可能性が必要なのか。
そこを考え、その会社に合った形で、対話可能性を支える仕組みを設計していく。
だからこそ、今回の学びを一言で表すなら、「個人を支える」から「組織を支える」へ。
なのだと思います。
受講生からも、
「『思考のプロセス』はいろいろなことに応用できそう」
「引き続き構造について考え、それを見える化したい」
「困っている経営者に提案してみたい」
という声がありました。
第1回から積み重ねてきた、「誰が悪いか」ではなく、「何が起きているのか」を見る。
という視点が、少しずつ、「では、どうすれば、この組織の対話可能性を支えられるのか」という実践につながり始めています。



次回はいよいよ最終回。
これまで学んできた、
人を見る。
構造を見る。
整理する。
組織を見る。
という視点を統合し、社内メディエーターとしての実践につなげていきます。

