社員同士のトラブルをどう仲裁する?関係性を壊さず解決するための視点とステップ

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社員同士のトラブルはなぜ起きるのか

職場という限られた空間で、異なる価値観や性格を持つ人同士が長時間を共にすれば、摩擦が起こるのは自然なことです。特に業務への責任感が強い社員同士ほど、正しさの主張がぶつかりやすく、互いを否定し合う関係に発展することもあります。こうした状況を放置すれば、周囲の士気にも悪影響が及び、職場全体の空気が重くなっていきます。

トラブルの背景には、コミュニケーション不足、業務分担への不満、評価や待遇に対する不公平感、些細な誤解の積み重ねなど、さまざまな要素が絡み合っています。問題は「どちらが悪いか」を決めることではなく、「どうすれば関係性を修復できるか」という視点で対応することが大切です。

トラブルを見過ごすことのリスク

社員同士の対立を軽視し、当人同士に任せてしまうと、組織にとって大きな損失につながる可能性があります。まず、当事者のストレスが高まり、パフォーマンスに悪影響を及ぼします。さらに、周囲のメンバーが巻き込まれ、チーム内に緊張感や不信感が広がるケースもあります。

最悪の場合、どちらか一方あるいは両者が離職を選ぶ結果になれば、採用・育成コストの損失だけでなく、組織の信頼にも関わる問題に発展しかねません。問題が深刻化する前に、組織としてどのように関与するかが重要になります。

仲裁に必要な3つの基本姿勢

中立性を保つ

仲裁者はどちらか一方の味方になってはいけません。どちらにも偏らない立場から話を聞き、冷静に事実を整理する必要があります。特に感情的な主張が飛び交う場では、バランスを保ちながら、両者の発言を等しく扱うことが信頼につながります。

否定せずに傾聴する

トラブルの背景には、積み重なったフラストレーションや、認識のズレがあります。「なぜそんなことを?」という視点ではなく、「何をどう感じたのか」「なぜそう思ったのか」と掘り下げることで、本質的な課題が見えてきます。相手の話を最後まで聞く姿勢が、対話の出発点になります。

解決ではなく、合意を目指す

仲裁は「正解」を出す場ではありません。どちらかが折れるのではなく、両者が納得できる着地点を一緒に探るプロセスです。業務上のルールや組織の方針を踏まえつつ、当事者が前向きに働ける関係性を再構築するための道筋を設計することが求められます。

社員同士のトラブルにおける具体的な仲裁ステップ

現状把握と関係性のヒアリング

まずは事実と感情を分けて整理することから始めます。各当事者から個別に話を聞き、それぞれの視点を尊重しながら、何が起きていたのかを明らかにしていきます。ここでは「言った/言わない」ではなく、「どう感じていたのか」「どこで行き違いがあったのか」を明らかにすることが鍵です。

対話の場をつくる

両者が冷静に話し合える環境を整えます。感情が高ぶったままの場では、建設的な対話は成立しません。第三者がファシリテーターとして入ることで、安心して話せる空気が生まれ、互いの言葉を受け止める余地が広がります。

話し合いの目的は、「理解」ではなく「合意」です。完全に理解し合えなくても、「今後どうしていくか」をすり合わせることが重要です。

再発防止策の確認とフォロー

合意が得られた後も、関係性の修復は時間がかかります。対話後の関係がぎこちなくなるのは当然であり、継続的なフォローが必要です。定期的な1on1や中立的立場からの進捗確認を設け、再び対立が起きないようにサポートを行います。

また、今回のトラブルを通じて見えた組織的課題(役割の不明確さ、業務負担の偏り、評価基準のあいまいさなど)を整理し、構造的な見直しを進めることも重要です。

第三者の関与がもたらすメリット

社内において当事者同士や直属の上司では難しい仲裁も、外部の第三者を入れることで打開できるケースがあります。メディエーションという対話支援の手法では、立場を超えた対話の促進と、感情の整理、合意形成のサポートが可能です。

特に信頼関係が壊れてしまった場合には、第三者による安心できる場の提供が、対話再開の鍵となります。感情がこじれてしまっても「関係性を切らない」ことが、組織としての価値を守る選択です。

関係性は“仲裁”を通じて再構築できる

社員同士のトラブルは、組織にとって避けたい課題ですが、適切に向き合えば関係を見直すチャンスにもなります。大切なのは、感情を否定せず、当事者の納得感を重視しながら、丁寧に関わること。

関係修復に時間がかかるのは当然です。一時の謝罪ではなく、合意と再発防止までを視野に入れた仲裁こそが、真の解決につながります。職場の中で信頼関係を育てる文化づくりのために、まずはトラブルを「見て見ぬふりしない」姿勢を組織全体で持つことが求められます。


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