小さなもめ事が職場を壊す前に
社内のもめ事は、業務とは関係のない“感情の行き違い”や“些細な誤解”から始まることが少なくありません。「言い方がきつい」「連絡がない」「仕事を押しつけられた気がする」など、日常の些細なやり取りがきっかけで、不満や不信感がじわじわと積み重なります。
そして、それが表面化すると“もめ事”として噴出し、周囲を巻き込みながら職場の空気を悪化させてしまいます。業務に直接関係ないように見えても、放置すれば大きな損失につながる可能性があります。
もめ事の解消には、感情的にならず、問題の本質を見極め、段階的に対応していく姿勢が求められます。
社内のもめ事が起きる背景
見えない価値観の衝突
人はそれぞれ「こうあるべき」「これが普通」と思っている基準が異なります。この違いが、暗黙のうちに衝突を引き起こします。自分の常識が相手の非常識になることもあり、言葉にしないままストレスを抱えていると、やがて態度や言動に表れるのです。
特に、「なんとなく合わない」「いつも反応が薄い」といった感覚的な不満は、本人が自覚しにくいため、根が深くなりやすい傾向があります。
誤解とコミュニケーション不足
伝えたつもり、分かっていると思っていた――そうした認識のズレも、もめ事の温床になります。報告が不足していた、言葉のニュアンスが伝わらなかった、返信が遅れた……など、ちょっとしたコミュニケーションのすれ違いが、相手には“無視された”“信頼されていない”と受け取られることもあります。
もめ事の解消ステップ
1. 状況を冷静に把握する
まずは「今、何が起きているのか」を落ち着いて整理することから始めます。感情的な反応に振り回されず、事実と感情を切り分けて考えることが大切です。
関係者から個別に話を聞き、それぞれの視点を確認することで、思い込みや誤解を取り除く土台ができます。話を聞く際は、「何が正しいか」ではなく、「どう感じていたか」を丁寧に拾う姿勢が重要です。
2. 感情を整理し、相手の立場を理解する
もめ事は、相手の“意図”が見えないときに激化します。「なぜあんな言い方をしたのか」「どうして連絡してこなかったのか」といった疑問に対して、背景や理由を共有することで、多くの誤解は解けていきます。
相手の立場や状況を想像し、「そういうことだったのか」と腑に落ちると、対立は和らいでいきます。
3. 対話の場を設け、合意を目指す
もめ事の解消には、建設的な対話の場が不可欠です。ただし、いきなり当事者を対面させるのではなく、必要に応じて第三者(上司や人事、外部ファシリテーター)を介在させることで、安心して話せる環境が整います。
この対話では、「誰が悪いか」ではなく、「これからどうするか」に焦点を当てます。再発を防ぐためのルールづくりや、日々の接し方についてすり合わせを行い、お互いが納得した上での“合意”を形成します。
4. フォローアップで関係を整える
対話が成立したからといって、すぐに関係が元通りになるわけではありません。その後のフォローが、もめ事の“後始末”として非常に重要です。
定期的なコミュニケーションや中立的な観察を通じて、関係が再びこじれないように見守る体制をつくります。必要であれば再度話し合いの場を設けるなど、柔軟な対応が求められます。
組織ができることは何か
社内のもめ事は、当事者間の問題にとどまらず、組織のマネジメント力が問われるテーマです。問題が顕在化する前に、信頼関係や心理的安全性を高める仕組みを整えることが大切です。
たとえば、日常的に1on1を行い、小さな不満や違和感を拾う文化を育てる。フィードバックや感謝を伝える機会を仕組み化する。メンバー間での相互理解を深める研修やワークショップを実施する。そうした積み重ねが、“もめ事の芽”を摘み取る力になります。
問題を“関係性のチャンス”に変える
社内のもめ事は、関係が崩れるきっかけにもなりますが、適切に向き合えば信頼を深めるきっかけにもなります。「言いたいことを言えた」「お互いの立場がわかった」という実感が得られれば、関係性は一段と強くなります。
大切なのは、“無かったことにしない”こと。もめ事を組織がどう扱うかによって、職場の文化そのものが変わっていきます。
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